ビールゲームとシステム思考

頑張れば頑張るほど状況が悪くなる、現場での解決をすればするほど解決から遠ざかるような思いをすることがあると思います。
ピーターセンゲが「学習する組織」の始めの部分で紹介した「ビールゲーム」では、①小売業者②卸売業者③ビール工場-がそれぞれに真面目に対応していただけなのに、最終的に大量の在庫を抱え込んでしまう例を紹介しています。

テレビなどでビールの効用が紹介される→小売での売り上げが増えるため多めに卸売に発注する→卸売は急激に出荷が増えたためメーカーへの注文を増やす→メーカーは製造が追いつかない→受注数が出荷できない→卸売・小売は先の需要や注文に備えてさらに多くの注文を出す→メーカーは受注増に対応するため増産体制をとる→実際には需要増は一瞬だけですでに落ち着いているのに、サプライチェーン全体に1年間分以上の在庫がダブつく。

ストーリーでは3者がそれぞれの正当性の主張と他者への責任追及をすることになります。
現場では、「とりあえず今この場をなんとかしなければ」という圧力で、その場をしのぐための真摯な対応をしなければなりませんが、これでは本当の解決にならないのに・・・ということを考えるのが、「システム思考」です。
「パターンの全体を明らかにして、それを効果的に変える方法を見つけるための概念的枠組み」です。
これではよくわかりませんが、課題に対する因果関係のパターンを図示し、「こうなったからこうなっている」の繰り返しがあることを認識していきます。
パターンの中で、ふと「ここが問題点の起点なのではないか」という場所(レバレッジ・ポイント)が見つかります。
それぞれが部分最適で対応していくのではなく、「レバレッジ・ポイント」のみを改善することで、全体としての解決につなげていきます。

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札幌の中小企業診断士 嶋田 雅人

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