中小企業診断士と企業家
中小企業診断士の英訳はいくつか存在するようですが、代表的なものに「Small and Medium Enterprise Management Consultant」または「Registered Management Consultant」があります。最近のいくつかの事件に関わっていて、世間的には「胡散臭い」と思われているらしい「コンサルタント」のひとつです。
経営コンサルタントが相談に乗れるぐらい経営に詳しいのであれば「お前が自分で経営したらいいじゃん」となるのもわからなくは無いです。
が、コンサルタントと企業家の役割と必要な能力は違います。
経済・経営の偉人たちが、企業家とは何かという定義を行っています。
経済学者のシュンペーターは「経済発展の理論」の中で「新結合の遂行」を行う役割としています。新結合とは、一般的に「イノベーション」と呼ばれていますが、様々な資源を組み合わせて新しいことをやるという意味では、イノベーションより新結合が分かりやすいかもしれません。
経営哲学のグルであるドラッカーは「イノベーションと企業家精神」の中で、企業家を「意思決定」を行う人で「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。これが企業家および企業家精神の定義である」と言います。
自身で事業を起こして活躍する中小企業診断士もいらっしゃいますが、その時点で彼はコンサルタントではなく企業家です。
トートロジーになってしまいますが、コンサルタントは自身で事業を行わない限りコンサルタントであり、企業家とは役割が違うということになります。※
また、イノベーションを起こすには、ロジックやフレームワークでは解決できないひらめきや試行錯誤が必要です。(デザイン思考)
ドラッカーは、「意思決定を行うことのできる人ならば、学ぶことによって、企業家的に行動することも企業家となることもできる」と言っています。逆に言うとコンサルタントは自分で意思決定のできない人だということを自覚する必要があります。
その分、企業家のひらめきや試行錯誤を整理し、投資家や支援団体、銀行、従業員、顧客等に伝えるためのフレークワークとロジカルプレゼンテーションを鍛えることが中小企業診断士に必要なことです。
※コンサルタント業としての意思決定をしているという意味では企業家ともいえます。