中小企業診断士とロジカルシンキング
「ロジカル・コミュニケーションとは・・・論理的なメッセージを伝えることによって、相手を説得して、自分の思うような反応を相手から引き出すこと」と、ベストセラーとなった「ロジカル・シンキング(照屋 華子, 岡田 恵子)」で書かれています。
ロジカルシンキングの技術は、大きく「MECE」と「So What? /Why So?」の二つの技術で構成されます。
MECEとは(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)の頭文字で、一般に「漏れなくダブりなく」と言われます。
相手に何かを説明するときに「たしかにその場合はそうだけどこの場合はどうなんだ?」と思われてしまうと、一気に説得力が無くなり、一点突破に陥ってしまいます。また、漏れなく説明しようとして「AとBとCがあります」と話したときに「あれ、AとCは同じことを言っているのでは?」となると、考えがしっかり整理されているのか不安になります。
So What? /Why So?は、「で、何なの?」「なんでそうなるの?」の問いかけです。これが出来ていないと論理の飛躍につながり、聞く相手は「???」となります。
中小企業診断士は、記述試験に向けて徹底的に「MECE」と「So What? /Why So?」を鍛えます。
中小企業診断士の論述試験は「正解が分からない」とよく言われています。与えられた条件から外れないことを前提としながら、蓄積された多くの知識や多くのフレームワークの組み合わせによって結論を出すため、様々な解答の種類が出てくるためです。
その結論やプロセス、表現が「MECE」「So What? /Why So?」を満たしていれば得点できると考えられます。
「ロジカル・シンキング」という名付けのために、一般的には思考の技術と捉えられていますが、冒頭「ロジカル・コミュニケーション」と言っているように、本来はコミュニケーション技術です。
流行の「デザイン思考」はロジカル・シンキングへのアンチテーゼでは無く、そもそもロジカル・シンキングが「コミュニケーション」技術なのだと整理すると、「デザイン思考」と「ロジカル・シンキング」の役割の違いが見えてきます。
私は、中小企業診断士の大きな役割はこの「ロジカル・コミュニケーション」なのだと考えています。
デザイン思考については、また別に書かせていただきます。