グローバリゼーションと芸術文化の創造的破壊

資本主義やグローバリゼーションは、芸術文化を貧しくするのでしょうか、それとも豊かにするのでしょうか。
直感的には、商業主義が芸術文化の均質化、愚衆化を進め、ローカルな文化を破壊していくという気がしなくもありません。
経済学者のタイラー・コーエンは、「創造的破壊」の中で、芸術文化へのグローバル化の効果を①最少公分母効果②エートスの破壊という考えで示しています。

①最少公分母化効果
特に映画など、固定費の大きい作品をグローバルに展開する際には、固定費を回収するために、あらゆる人に受け入れられる作品を作ります。ハリウッドがアクション映画を作るのはそのためです。
一方で、マニアックな文化がグローバル化で潜在的な観客に作品が届けば、世界中に散っている趣味人に見てもらえる機会が増え、多様化は確保されます。
クラスターがある領域の文化の発展をけん引し、周縁が多様化を進めるという構造になります。

②エートスの破壊
エートスとは、「ある文化に特有の感じや特色」です。
大きな文化と小さな文化が接触することで、小さな文化のエートスが破壊されます。しかし、ネイティブアメリカンの文化が時を経て当人以外の文化で価値を高めるなど、小さな文化が全く消えてしまうわけではありません。
ローカル独特の文化も、過去のどこかの時点で実は他の地域から移植された文化であることもあります。
多様なエートスが交流することで地域ごとの違いは少なくなりますが、ある人が同時に享受できる多様性は大きくなります。

地域間の芸術文化の違いや個性が小さくなっていくことは避けられないかもしれません。しかし、スマートホンやインターネット等で、制作手段と流通手段が大衆化し、土地に縛られないクラスター化や多様な作品の流通が実現しています。それらが世界各地に存在する趣味人に届き、芸術文化の多用化は進み、豊かさは確保されるという考えです。

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札幌の中小企業診断士 嶋田 雅人

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