円安と政府・日銀による介入
連日、円安が話題になっております。為替レートの変動の原因には次のようなものがあります。
1.購買力平価説
ビッグマック指数が良く知られていますが、同じものの値段が等しくなるように為替レートが決まるはずだという考え方です。
最近は海外特に欧米に比べて日本の物価が安いと言われています。
仮に、日本で1500円で買えるものがアメリカで10ドルだとしたら、1ドル=150円ということになります。実際には、同様のものがアメリカでは20ドルになっているとすると、1ドル=75円ということになります。日本の物価が安すぎるという感覚からすると、現在の円は安すぎるような気がします。
2.金利
金利に差があると、金利が高い方に資金が流れ、金利が高い方の通貨需要が高まります。
日米でいうと、アメリカの金融引き締め政策=金利上昇がドル需要を高め、円安ドル高を招いているという記事が多いです。
3.経常収支
経常収支とは、輸出額-輸入額など、外国との間で得られる余剰の獲得量です。
一般的には、経常収支が黒字になると通貨の価値が高くなります。
日本の経常収支悪化が円安に影響しているのかもしれません。
先日、日銀・政府による円買い介入が行われました。
円買いは、市中の通貨を減らし、通貨需要を高めることで金利上昇につながります。
一方で日銀は金融緩和政策を崩していません。つまり、円買いによる金利上昇を相殺するために通貨供給量を増やすはずです。この結果、円買い自体の効果は相殺されます。
マンデル・フレミングの理論では、小国を想定した場合、
①固定相場制の元では金融政策は効果が無く財政政策に効果がある
②変動相場制の元では金融政策に効果はあるが財政政策に効果が無い とされています。
もし、円安を回避するために為替への介入を続けるのであれば、実質的な固定相場制となり、財政政策にこそ効果が求められることになります。
逆に金融緩和政策を続けるのであれば、為替への介入は両立しないはずです。
①為替相場の安定を求めるのであれば財政政策とセット
②金融緩和を続けるのであれば為替の変動は受け入れる
③これらを全部解決するスーパーミラクルな秘策がある
政府・日銀が今後どのように動くのかは、この視点で観察すると良いと思います。